こんにちは!
今日も子どもたちの遊びが面白かったので、ご報告いたします。
今日は園庭の砂場のお話です。

砂場の穴が広がっている

朝園庭で子どもたちが遊んでいる一角をみると、何やら大きな穴を掘っていました。
先生見てよ!こんなに大きくなったんだよ!”
と教えてくれました。

きっかけ

先生にお聞きした話によると、初めは”虫を探す”ための穴だったそうです。
確かに10月中旬頃から、やたら毎朝穴を掘っている子どもたちの姿を目にしていました。

穴掘りの変化

そんな虫探しの穴でしたが、そういえば10月の下旬には”落とし穴”と言って掘っている子がいたのを思い出しました。
その4歳児の男の子は
”悪い人を落とす穴なんだよ。でも、悪い人っていないなぁ〜”
とはにかみながら困っていたのを思い出しました。
素敵な感性の男の子でした。

更にある女の子が

”これは基地だって””秘密基地にしようって言ってた”
と話をしてくれていた日もありました。
自分は参加していなくても、しっかり人のことを見ている女の子でした。

私が確認しただけでも
・虫探しの穴
・落とし穴
・秘密基地
と変化していたのがわかります。
きっと子どもたちの中ではもっと色んな世界があったことでしょう。

更に広がり、お家ができる

その後、少ししてからまた穴づくりの様子を見に行くと、また素敵な変化を遂げていました。
今度は”家を作る”と、砂場の中に階段を作ったり、椅子やテーブルを自作している子どもたちの姿が見られました。
砂の周りはいつぞや購入した、コテやスコップで器用に固められています。

その様子を見た先生たちが
”子どもたちがバーベキューをするって言ってますよ”
と笑顔で教えて下さいました。

子どもたちで釘をうちテーブルも

バーベキューを夢見て子どもたちは椅子やテーブルを自作します。木の板を持ち出して、かなづちと釘を用意し器用に打ちつける子もいました。

椅子が作りたいと、3人で力を合わせて、板の長さをつきあわせ、ああでもない、こうでもないと話し合っています。確かに柱3本で椅子を作ることは難しいかもしれませんが、こんな風に頭を付き合わせて考える姿がとても素敵だなぁと感じました。

知識・技能の基礎

幼児期には育てたい3つの資質能力という指標があります。
この3つの資質能力は子どもたちが成人するまでに順を追って学んでいく過程の一つであり、以前お伝えした子どもたちに育てたい10の姿を育みながら培っていく心情や意欲・態度の基礎です。

そのうちの幼児期に育みたい1つに知識・技能の基礎という項目があります。
今回の遊びの中にも子どもたちには学びがいっぱい詰まっていると思いませんか?

・砂を掘る中で素材を知る。
・板を合わせてどうやったら机ができるか考える。
・金づちや釘、コテの使い方を知る。スコップの使い方を工夫する
・椅子を作ろうと柱を合わせる。どうしたら出来るのか考える

・友達と相談する
etc

言葉によってイメージを共有させる

それだけではありません。
数人で一つの家を作るためには、子ども同士のイメージのすり合わせが必要です。
一人だけ家と言っていても、それが通じずに川を作りたい子がいた場合、きっと水浸しにされるでしょうし、落とし穴をまだ作ると言い張っている子がいた場合、きっとケンカするでしょう。
そんなイメージのすり合わせが何気ない遊びの中で行われ、伝わる・伝わらないを経験する中で、子どもたちで”家”というイメージが共有されているのでしょう。

子どもたちの遊びは、もはや建築業務

今回の子どもたちの遊びをまとめると、
1.虫探しの穴を掘る
2.落とし穴に変更、更に掘る
3.穴を広げて家にしようと交渉
4.仲間を集め
5.材料を集め
6,.道具を使って皆が満足する家を作ろうと奮闘中。

というプロセスの途中ですが、

例えばここに、金銭の授受と契約書等の取り決めがあれば立派な建築業務です。

もはや大人たちが辿っている思考となんら遜色はないのではないかと感じるほどです。

ホイジンガの名言

ふと、オランダの歴史家、ヨハン・ホイジンガの言葉を思い出しました。

すべての遊びは、まず第一に、何にもまして一つの自由な行動である。

命令されてする遊び、そんなものはもう遊びではない。

ホモ・ルーデンス  | ヨハン・ホイジンガ 著

”ホモ・ルーデンス=遊ぶ人”とした著書の中で、全ての文化は遊びから生まれたという視点で、遊びを定義し、遊びの重要性を説いた方です。

虫探しをしようと掘り始めた子どもたちが、どんどんと穴を掘る中で、自分達でバーベキューをしたいと、テーブルや椅子まで作り、更に穴を広げ、家にしていく。

これはどこからどう見ても、遊びです。

ですが、ここに子どもたちの学びや経験がたっぷり詰まっています。
このように子どもたち”自らがやりたい”と主体的に活動し、環境(今回は砂場や周囲の玩具)に関わる中で、幼児期の学びは培われると思っています。

環境構成という視点

板を用意したのは誰か

今回の子どもたちの学びを支える上で物凄く重要な視点がもう一つ。

板を用意したのは誰かということです。

これをきっかけに家という遊びが劇的に広がり、金づちの登場にも一役買いました。
板の存在のおかげで、椅子や机の形を考えるという遊びが生まれました。
遊びが生まれたので、その中で子どもたちの学びも生まれました。

これが、先生ですよね。
このように先生たちは子どもたちの興味・関心に合わせて
”これがあったらもっと子どもたちの遊びが広がるんじゃないかな?”
”そうしたら面白いし、学びも広がるんじゃないかな?”
と、様々な遊びや遊び場所を作ってくれています。

その上で、”子どもたちがバーベキューをするって言ってますよ”と微笑んでいるのですから、素敵です。

幼児教育で遊びを見るというのは、子どもたちの好き勝手にさせるのとは違います。


こんなに学びが膨らむ遊びの中で、子どもたちの興味関心に合わせて、”今こんな環境(場所や空間、玩具などの提供)をしたら更に子どもたちの興味関心が膨らむのでは??””学びが膨らむのでは?”と、感じ、工夫することです。

先生方は私では見切れていない箇所まで日々工夫して下さっています。
更に、毎日子どもたちの様子を伝え合い、日々コミュニケーションや情報交換を行っています。

いつもありがとうございます。

まとめ

今回は子どもたちの穴掘りの遊びから、その活動の中の学びや広がり、そして遊びや先生たちの環境構成の工夫についてまでお伝えしました。

いつも小難しくてすみません。
挨拶が短い分、ついつい文章が長くなってしまいます。笑

でも、


”子どもたちの遊びの中に、こんなに子どもたちが成長する学びが含まれているんだよ!”


というメッセージが少しでも伝われば幸いです。

お伝えしきれていない部分や誤解を生む表現もあるかもしれません。何かお気づきの点がありましたら、いつでもこっそりと教えて下さい。

では、また!

園長 大岩 慎治